君は誰?

息子がビリヤードにはまっているので家族でたまにビリヤードの出来る商業施設に行きます。

先日もいつものようにプレーをしていました。

 

と、そこへ突然小さな男の子が現れたんです。

親しげにニコニコ微笑みながらまっすぐ旦那と息子の台へ向かってきます。

そしてまるでそうするのが当たり前とでもいうように、台上の球に手を伸ばしました。

ありゃりゃ、危ないぞ。

 

でも我が家の大人な男性陣は彼のすることを止めさせませんでした。(優しいのです。)

そして台の上から少しずつ球が減っても何事も起きていないかのようにプレーを続けました。息子は戸惑いの表情ながら見てみぬふりをしています。

 

 

男の子は集めた球を愛おしそうに胸に抱いて2人のプレーをみていましたが、一瞬の後、ためらうことなく台上に球を投げ込みました。

そして満面の笑みでそれはそれは嬉しそうに「はいった!」と叫びました。

 

(あ~やっちゃった・・・

 

でもまあ、しょうがないか、だってすごく楽しいよね、球がぶつかり合いながら転がるのって。)

 

 

「参ったね~」と苦笑いしながら、私は隣の空いている台を失敬し、旦那から余っている球を借りて、彼を「こっちにおいで。今度は私と一緒にやろう」と誘いました。

意図が伝わったようで、彼は私についてきましたが、そういえばお家の人はどこにいるのでしょう?

2Fでビリヤードをしているのは私たち家族だけです。

 

 

男の子はとても表情豊かでよく動き、話しが本当によく通じることがわかってきました。言葉での返事はないのですが、大きく頷いたり首を横に振ったり、私の言っていることは全部わかっているようです。その証拠に指示がよく通りました。

言葉のまだあまり出ない2歳か3歳の男の子が、知らない大人の言うことをこんなに理解して指示を守るなんてあまりに不自然で私は興味をそそられました。

 

 

いつの間にか1時間が過ぎて、ビリヤード終了の時間になりました。

隣の台で片付けが始まったのをみて、彼は遊ぶのをやめました。

すごい!この子、人の動きや気配で終了がわかるんだ!

そして、自分はまだ遊びの途中なのに行動をやめることも出来るんだ!

 

こんな小さな子が空気を読んで、感情をコントロールすることに衝撃を覚えました。

 

                                 (つづく)